外箱デザイン
まずはじめに、『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』 外側の話から。
外箱デザインは、解説書の奥付にも書いたとおり、解説担当者が個人的に持っている作曲者信時潔の遺品からデザインしています。 ナントカ織りという名前もあるのでしょうけど、特別ないわれがあるようなものではない、 ほんとうにごく普通の着物です。
昔の人は日常に着物を着ていたものです。
私の父も、その父=つまり信時潔の形見分けにもらったらしい着物なども着ていた時期がありました。外出用ではありませんでしたが、お風呂上りなんかに、ちょっと引っ掛ける感じで。
昭和40年代も後半になってからは、父も着物を着なくなりました。
着物のおじいちゃん=信時潔のイメージがあるのは、本当の記憶なのか、写真などであとから記憶されたものか、わからないのですが。
ごく普通、普通過ぎるほど普通の。ぜんぜん気取らない感じが出ればそれでいいかなと思って、着物の柄から外箱デザインをしてもらいました。箱のデザインは通称お弁当箱スタイルというそうで、発売元の財団がしばしば使用する得意のスタイルです。コンパクトにまとまるし、本棚に置いてもいいかもしれない、と思ってこれにしてみました。
外箱の表にある題字の「信時潔」は、本人のサインによるものです。わりとよそ行きに書いたもので、日常の筆跡とは違う感じです。