このところ国会図書館デジタルコレクションの資料を利用することが多い。
いま進めている自分の調査研究関連でちょくちょく確認にいく「東京音楽学校一覧」は、なんとログインなしで利用可能。少し欠けている年はあるのだが、かなりカバーできる。
それら「東京音楽学校一覧」の中に
東京音楽学校 編『東京音楽学校一覧』別冊,東京音楽学校,大正1-15. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/941218 (参照 2024-08-20)
と言うのがあって、年ごとの報告ではない「別冊」とあるので今まで飛ばしいたのだけれど。
開いて見ると、なんといきなり
「東京音楽学校卒業生氏名録」とある。(ああ、タイトルページにあるこれを、書誌情報に入れておいて欲しかった!)
本科だけでなく、研究科の修了年もわかる。師範科とか伝習生というページもあって・・・楽しめます!
ほかに、個人送信サービスに登録すれば色々使える。
完全ではないけど記事中の文字検索も結構できる。この変更は大きい。
月刊楽譜なんかも 所蔵号だけだが結構カバーできるし
https://dl.ndl.go.jp/pid/11007312
先日もXでつぶやいたけど
音楽年鑑も、各種あってありがたい。索引があまりなくて使いづらかった
秋山竜英 編著『日本の洋楽百年史』,第一法規出版,1966. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2509168 (参照 2024-08-20)
とか(結構誤植、誤記が多いので要注意ですが)
増井敬二 著『日本のオペラ : 明治から大正へ』,民音音楽資料館,1984.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12434705 (参照 2024-08-20)
などは、出版から50年もたっていないのに公開されているのは、絶版だからでしょうか。助かります。
図書館のレファレンス、相互協力担当者は、まずILL依頼の前にデジタル化資料送信サービスを確認しなければならないこの頃・・・であります。あれ、ここにあったじゃないの!ということが結構発生してます。・・・ハイ。
研究者の皆様、そしてこれから研究を始める学生の皆様には
個人向けデジタル化資料送信サービスの登録を強く、強くお勧めいたします。
https://www.ndl.go.jp/jp/use/digital_transmission/individuals_index.html
サイト更新情報
東京藝術大学附属図書館 信時文庫貴重楽譜データベースでは、著作権上の問題がない楽譜の画像を公開していますが、校歌等については、作詞等の著作権の確認をとる作業ができなかったため公開していません。 ※注
一般の歌曲や合唱曲について、たとえば「北原白秋作詞(作詩)」とか、「小野小町作詞(作歌)」という場合は、著作権保護期間満了していることが、簡単に調べられるので、
https://jmapps.ne.jp/geidailibnobutoki/det.html?data_id=1026
https://jmapps.ne.jp/geidailibnobutoki/det.html?data_id=2620
のように、楽譜画像を掲載しています。
1000曲を超える校歌・団体歌については、作詞者の調査が簡単にできないケースもあるので、一括して(調べれば簡単にわかる作詞者の場合を含めて)「校歌等の場合は楽譜画像を公開しない」を初期状態としています。
ただし、データベース公開後、利用者から要望があり「作詞者の著作権期間が満了している」ことが明らかになった場合は、公開されるケースがあるようです。(当該学校等の許諾が必要な場合もあるのかもしれません)
東京藝術大学附属図書館の実際の対応について、詳細はわかりませんが、たとえば
検索画面でキーワードに「校歌」と入れ、画面下の「画像有のみを表示」にチェックをいれると、
こちら のように、楽譜画像公開されている「校歌類」が表示できます。
以上ご参考までに。
※注 校歌に限りませんが、楽譜画像の見開きページに、著作権保護期間内の別の作品、あるいは著作権者の確認が取れない作品が映り込むために公開できていない楽譜もあります。
神奈川近代文学館で開催されている企画展「『おまけ』と『ふろく』展 子どもの夢の小宇宙」に行ってきました。(9月24日まで開催)
その中に、グリコのおまけで有名なあのグリコの、「引換え賞品」として、「軍歌集」が出ていました。「おまけとふろく展」で、信時作品に出会うとは全く予想していなかったので、驚きましたが、確かにあの時代であれば、そのようなことはあったかもしれません。
展示キャプションを書き留めてきた情報は以下の通り。
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面白くて為になるグリコ文庫(2)
軍歌集
1936年7月〜1940年 グリコ
編集 宮本順三
グリコの引き換え賞品
*「海行かば」などの歌詞と楽譜を収録
個人蔵
附録 ジツクサウあそび
グリコ株式会社編
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「海行かば」が、信時潔作曲の「海ゆかば」であるとすれば、それが掲載されているものは、初演、初出と同時ではないと思うので、おそらく1938年以降ぐらいの刊行だろうと思われます。1936年7月〜1940年と記載されているのは、展示の担当者か資料の所蔵者の推定なのか、あるいは奥付に初刷から何刷目までの刊行年を列記されているのかもしれません(だとすると1936年7月刊行分には「海行かば」は掲載されていなかったでしょう。)
展示は表紙が出ているので、中を見ることはできず、「歌詞と楽譜を収録」と言うのは、全曲なのか、一部なのか「海行かば」の楽譜も含まれるのか、わかりません。歌詞が多くて、中に数曲楽譜もある、という軍歌集、唱歌集もよくあります。とくに「数字譜」とは書いていないので、旋律譜でしょうか?もちろん、ピアノ伴奏譜などは無さそうです。
「編集 宮本順三」は、グリコのオマケのデザイナーで、同展のほかの部分で詳しく説明されています。記念館 https://www.omakeyazunzo.com/ が大阪にあるそうで、いつか訪ねてみたいです。「編集」といのは、グリコのオマケ全般の編集担当者ということなのか、あるいはこの「軍歌集」のデザイン、選曲、配列まで?
ここからは、「海行かば」には関係ないところですが、「附録 ジツクサウあそび」とあるのは、この「軍歌集」に附録が付いているということでしょうか?展示室で私が写し間違いをしていなければ、たしかに「ジツクサウあそび」と書いてありました。ジツクサウ?じつくそう?字尽くそう?・・・何かと思ったのですが。同展には、数々の紙製の附録やオマケ、すごろくや、紙製の組み立ておもちゃ等が出ていました。もしかすると「ジグソウパズル」の「ジグソウ遊び」かもしれませんが、真相は不明。・・・気になります。
神奈川近代文学館の蔵書であれば、展覧会終了後に資料閲覧に行きたいところですが、「個人蔵」とあるので、難しそうです。
ここまで書いてから、気になって検索してみたところ、以下の二つが見つかりました。表紙は展示してあったものと似ています。古本屋さん、販売履歴を残してくださっていてありがとうございます。
https://kogundou.exblog.jp/241576881/
https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=4682585
どちらも「グリコ文庫(2)」とありますが、この二つは「附録」が違うので、いくつか版があったようです。(前者の裏表紙は確かに附録の「碁あそび」になっていますが。後者は表紙に「附録・ジツクサウあそび」、商品解説欄に「附録欠」とあり、残念ながらジツクサウあそびの真相は不明)
なお、https://kogundou.exblog.jp/241576879/ によると、「グリコ文庫(1)」にも「海ゆかば」の記載がありました。
これ以上追求すると、もうそこは、コレクターさんの世界なので、この辺で。