「はなすみれ」「花すみれ」に関する新論文
女子学習院の「はなすみれ」および唱歌「花すみれ」は、ちょっと複雑な来歴がありまして、CD『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』の解説でも少し書いたのですが、字数も調査時間も足りなくて、書き尽くせなかった点が多々ありました。
この春、学習院の作曲当時の事情を含めて調べ上げた、すばらしい論文が届きました。
津上恭子著「信時潔作曲 二つの《はなすみれ》」 付記―山田耕筰作曲《花すみれの御歌》
『学習院女子部論叢』第12号 (学習院女子中等科・高等科 2016・3) pp.80-110
本文中の各作品の楽譜も掲載されています。(信時潔、山田耕筰の著作権保護期間は満了しています)
著者の津上先生は、長く学習院女子中等科の教諭を務められ、この3月に退職されたそうです。
なぜ、女子学習院の「はなすみれ」は作り変えられたのか?
なぜ、ほぼ同時期にセノオ楽譜から山田耕筰と信時潔それぞれの「花すみれ」が出版されているのか?
学習院内部の伝承や学校史の資料をも、かなりしっかりと拾い上げていて、読みごたえがあります。
なお、学習院の「はなすみれ」はこちらで聴くことができます。
http://www.gakushuin-ouyukai.jp/wp/?page_id=1715