荻野綾子初演曲
香月隆著『【評伝】まぼろしの歌姫 荻野綾子』(荻野綾子顕彰会 2014.2)を読んでいます。
信時潔ともいくつか接点があり、まだはっきりわかっていないこともあるのですが。
この本で新しくわかったことがあったので記録しておきます。
[昭和13年]4月に太田(旧姓荻野)綾子の夫太田太郎がJOAKの洋楽課長に就任したあと、同年8月に「BKで「銃後婦人の夕」と題して信時潔、橋本國彦、山田耕筰らの新しい曲に合わせ、興国短歌を朗誦している。」とあります。
この新曲(?)が何か、記憶になかったので新聞データベースを「荻野綾子」「銃後婦人の夕」等で検索してみたところ
朝日新聞 東京版 昭和13年8月13日朝刊
朝日新聞 大阪版 昭和13年8月13日朝刊
読売新聞 昭和13年8月13日朝刊
のラジオ欄にそれぞれ記載があり、金子基子作歌「国挙る」(国こぞる)が初演されたらしいことがわかりました。
「国こぞる」は国民歌謡の枠で13年10月3日から放送されていますが、荻野綾子が初演していたとは初めて知りました。
香月氏の書きぶりから、世間体を気にしてBKからのみ放送されたのか、と思ったのですが、実際にはAKでも放送されたようです。
朝日の東京版では「太田綾子」、朝日の大阪版では「荻野綾子」の名前になっていて、たしかに何か事情というか、配慮があったように感じます。
一方読売新聞では、「太田AK洋楽課長夫人荻野綾子さん」とあり、それだけ見れば、荻野さんご結婚されたのか、と思う程度でしょうか。
では、本の続きを読むことにします。
本の入手はこちらでできるようです。
http://www12.ocn.ne.jp/~poemq/ayako.html
(2021年9月現在「評伝 まぼろしの歌姫荻野綾子」 Kindle版 全5点が出ている)