雑記帳(Q&Aなど)

寄せられた質問への回答、そのほか日々の資料整理作業の過程で思うことなど、
Q&A方式で随時書き連ねて行きたいと思います。
Q

26.「丹沢」の歌詞「秦野」について(2011.02.11)

A

歌曲『沙羅』の第一曲、清水重道作詩「丹沢」の歌詞について、質問があったのでこちらにも書き留めておきます。

歌詞の中の「塔のむかふ 町並光らせて 秦野」という部分の「秦野」の読みについて。信時潔作曲の「丹沢」楽譜では読みが「はの」となっています。丹沢から見える「秦野」とは、神奈川県秦野市あたりだと思われます。秦野市のホームページにも「はの」とあるように一般的に「はの」と読むようです。Wikipediaの「秦野市」には、「はだの」と「はたの」についての言及もあります。

この件については、以前、畑中良輔先生からも「地名としては はだの のはずだけれど」という質問をうけた覚えがあります。信時潔の楽譜中の歌詞のひらがな書きの部分や、別掲歌詞は、自筆譜から、妻ミイによる浄書譜、初版譜、その後の出版譜まで、一貫して「はの」です。決して誤植ではないことをお伝えしました。

信時潔が清水重道から受け取ったであろう歌詞原稿には、ルビがふられていたのでしょうか?同じ「丹沢」の歌詞の中の「檜洞(ひのきぼら)」とか「崩土(がれ)」にルビがふってあるように、ふってあったのかもしれません。清水重道の歌詞原稿は見つかっていないので、これ以上の確認はできません。